毛沢東と軍との関係は、概して疎遠だった。毛沢東は軍に出向いて兵士をじかに激励したことなど一度もなかったし、前線を視察したこともなく、後方の部隊を慰問したこともなかった。軍に心がなかったのだ。東北に派遣された兵士の中にはマラリアにかかっている者が多く、熱で弱っ兵隊をむりやり何百キロも行軍させるために、 一人の病人を健康な兵士が前と後ろからサンドッチのようにはさみ、腰にロープをつないで引っぱって歩いた。傷病兵に関して、毛沢東は彼らを元の農民に預けて置いていく、という対処法を好んだ。しかし、地元農民とて生きるか死ぬかの活であり、薬など入手できるはずもなかった。
]]>